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第23部「裏切り」

23部 裏切り





「チュン・・・チュンチュン・・・チュン」
雀が鳴いている。
もうすっかり夜は明け、陽が顔を出している。
「清々しい朝だな、今日も1日元気で過ごせると良い」

その人物は元3ーDの担任の飯田だった、恐らく普通の生活の普通の朝だろぅ。

「・・・・・」
ーーーーしかし、1つだけ普通とは違う事があった。
『・・・どうにかしてあの子達を助けるかな・・・』
このゲームが始まる2日前に、緊急職員会議が開かれた、およそ6時間、違う学年の教師達も1人も帰らず、どうするかを見当したらしい。
「しょうがない」
「諦めるしかない」
そんな言葉しか上がらなかった。
・・・しかし、学校内の教師の中でただ1人、飯田の心身は・・・そうは思わなかった。
だが、現実は厳しい。
なにしろ、国単位で行われているものだ、たかが一般市民1人の講議など・・・受理されるはずがない。
警察に行ったものの・・・何も出来ずに、帰るしかないという現実。
とりあえず・・・"それ"が行われている場所を探すしかない。
その手段・・・・どうすれば良い?
そして飯田が思い付いた手段・・・・

ーーーー〔ハッキングでの情報収集〕





死亡者
A組男子無し  女子無し
B組男子無し  女子 谷神 裕沙
C組男子無し  女子無し
D組男子無し  女子無し

残り19人
残り09時間59分
鍵保持者 植杉




第6章   ーー The door named betrayal ーー





本部  立花   06時00
『・・・・ーーー♪ーーーーー♪ーー♪』
時計の短針が下、長針が上を指した時だった、島中のスピーカーから有名歌手のヒット曲が流れる。
そして、ラジオ番組のように、後ろで曲を流しながら立花が話し出す。
『みなさん、起きてください、大事な情報です。
えっとですね、今から3時間後の午前9時までにやってもらいたい事があります。
それは・・・"バッグの整理"です。
みなさんは指示に従い、バックの中に入ってる、種類は関係無く武器、そう呼べるものを1つにしてください、その自分で決めた1つの武器以外はその場に捨て、そこを去ってください。
もし、午前8時以降に武器を2つ以上所持していた場合、自動的に両足の機械が中規模爆発します、恐らく下半身は無くなりますが・・・死ねはしないでしょう、お気を付けを・・・あと、持っている武器を捨て、使い、もう一度それを捨て、さっき捨てたものを拾うなど、一度に2つ以上所持しなければ何でもどうぞ。
えぇー・・・尚、みなさん"キーチャー"を持っているはずです、そのキーチャーの下部分に武器だと思うものを触れさせてみてください、そうすればそのものが武器ならば鍵を見つけた時とは違う小さな音が鳴ります、それで武器か武器ではないかの確認をしてください。
みなさん、もう残り10時間を切りました。なのに19人とは・・・少し多いような気がします。あとみなさん、この島にライオンを放させてもらいました。
もし見つかったら頑張って逃げるように。
・・・・・あと、防犯カメラに妙な影・・・・首にもどこにも機械の付いていない妙な影が昨晩あったんですが・・・一体なんなんでしょう?そしてどこから入ったんでしょう?変にかばい立てすると痛いめに会いますからね・・・それだけです。
では、残り少ない時間・・・・頑張ってください』
放送が止まる。
「・・・・・」
『・・・12時頃にするかな』
立花はポケットからマルボロを出し、1本口にくわえ、金色のジッポで火を付ける。
「・・・・・ふぅーーーー・・・・」
徐に煙を吐いた。

本部近く  皆   06時13分
「ライオン・・・・ってこいつか?」
皆のケツの下には血まみれで舌をダランと垂らしたライオンがいた。
皆は・・・・ほぼ無傷だった。
「さぁーってと・・・」
『武器ぃ・・・1個にすんのか・・・やっぱこれかな』
皆は右手に持っているバラムガンを見る。
「・・・ま、ギリギリまで良っかな」
薄く笑顔を浮かべながら、立ち上がる。

皆のバッグの中には・・・長崎の血が付いていた。
そして、武我の指紋の付いたナイフが入っていた。

コンビニ前  鈴本・石羅   06時23分
「・・・・・」
「・・・・・」
2人は5時程に起き、それから休みながら本部近くに向かって歩く。
両者、口は開かない。
『・・・・もう、なんでこんな面倒な事しちゃったんだろ・・・早くしないと怒られる』
鈴本は困った顔をして少し前を歩く、石羅の背中を見た。
『・・・・・もうすぐ来るだろぅし・・・・そろそろかな・・・』
鈴本はバッグに手を入れた。

民家C前  牧屋・新野   06時29分
「・・・・・・・・」
「・・・・・する事ねぇーな、新野なんか面白い事してょ」
「面白い事ぉ!?んー・・・じゃあものまねするょ、はい!!リクエスト!!」
「んー・・・じゃあ小野妹子でw」
「!?・・・・・ず、随に行こう・・・か、かなぁ~」
「はぃー、次ぃー」
「!!」
「次は・・・・タモリ・・・」
「・・・さ、最近髪切っ」
「・・・のグラサンのまね」
「!?・・・・・・・ど、どぅも、タモリのサングラスです・・・って人間にしぃ!!」
「じゃあ・・・・ヒミコw」
「!?!?・・・・・ドラゴンじゃー、や、八岐のドラグゥーンじゃ!!」
「たぶん語尾"じゃ"じゃないと思う」
「・・・・や、八岐のドラゴン・・・・プー」
「無いな」
「はっ!!」
「てか取りあえずドラゴンとか無いしw八岐大蛇だから竜じゃなくて蛇だしw」
「クゥッ!!ぬぬ・・・じゃあ今度はマッキーの番」
「来いやぁー!!」
「ぅえっとねぇ・・・じゃあ枕」
「枕ぁ!?・・・・・ど、どぅも、枕ですw」
「俺んパクりじゃん!?」
「ぇへへ」
「じゃあ人間で・・・じゃあ・・・もしも宅が植物人間になったら、どうぞ!w」
「しゃべれねぇじゃんw」
「グラサンもだろぉ!?w」
「・・・・ものまね飽きたなぁ・・・なんかない?」
「んー・・・・じゃあ、しッペ・デコピん・デコピんしょうょw」
「えー、しっぺ・しっぺ・しっぺで良くね?w」

2人が遊んでいる。
その7m程遠くから、植杉がのぞいている。
「・・・・んぁー!うちも入りたい・・・・新野ぁ・・・」
植杉はじたんだを踏む。
「でもなぁ・・・こんなにいっぱい人殺したやつ受け入れてくれるはずないし・・・くっそぉ、まゆみがいれば・・・!!」
植杉はどうして入るか考える。
「ぅーんぅーん・・・・どうしょどうしょ・・・」

2人は今度は格闘技を始めた。
なんか色々な種目が入っている。
困った。
植杉が見ていた、その時だった・・・
【ーーーーーーヒュン】
民家の上から何かが飛んだ。
「ぇ・・・」
"それ"は植杉には気付かなかった。
【ザッ・・・】

「2人ゲットだな・・・」

ーーーーー獏だった。
獏は左手を鞘に当て、右手で柄をつかんだ。
しかし2人は武器が無かった。
ーーーーその時新野が
「ふっふっふっ・・・・獏、逃げた方が良いぜ?」
「・・・?」
獏は警戒をした。
「・・・・聞いて驚くなょ?マッキーはな・・・・スゲェ武器を持ってんだぞ?」
「・・・!」
「・・・!?」
牧屋も驚いた。
『なんで変な事言ぅんだ、ハゲッ!』
『ぅがなぃっしょ!こうしないと殺されるわ!?』
『・・・・』
『・・・・』
「・・・はっはっはっ、そうだぞ。マジ半端無ぇの持ってんだぜ!!(棒読み)」
牧屋もそれに乗った。
「そぅか・・・・なら、尋常に受けて立とうか」
獏は恐れながらも逃げてくれなかった。
「ぅえ!?・・・に、逃げろょ!?ホントスゴィんだぞ!?あの・・・ベトナムとかなら破壊できんだぞ!?・・・確か」
「そぅだそぅだ!!」
「・・・・・・」
獏は何かを感じ取った。
「・・・・はっ、良ぃだろぅ。じゃぁそれを見せてくれ、死ぬんなら死ぬ前に自分が何にやられたのかぐらいは知っておきたい」
「・・・・こ、これを見て生き残ったやつぁいない!!」
「だから死ぬ前にだって」
「ぅ・・・ぅおーーーーー!!」
新野は獏に向かって行こうとした。
獏も腰を低くし、構える。
ーーーーーその時

【ドギュンッッ!!!!】

耳を塞ぎたくなるような音がした。
それは獏の足下にあたった。
「・・・・に、逃げろ・・・逃げろ2人共!!」
植杉だった。
『植杉・・・・』
「植杉さんっっ!!」
新野は叫んだ。
獏は植杉を見る。
『・・・・マッキー、行こ!』
その隙に新野は牧屋の右手首を掴み、後方へと走り出す。
「!!」
獏がそれに気付きそれを追おうとした。
そしてその隙に植杉も走り出す。
「あぁ!!」
思わず獏が叫ぶ。
獏はどっちも追わなかった。
「あああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
獏は自分の髪をぐしゃぐしゃにした。
そしてその場に座り込む。

「・・・・☆」

牧屋・新野・植杉の3人は・・・・笑っていた。
「・・・ぁいつバカだね、俺達追えば殺せたのにねw」
「・・・ね」
・・・・2人は油断してしまった。

【ーーーーーーバスッ】

1発。
たった1発でも何でも出来る。
牧屋の隣で音がした。
牧屋は横を見るが・・・遅かった。
【ブシャァァァァァァァァ・・・】
新野の喉には1本の矢が突き立っていた。
牧屋の顔やらには新野の血液が飛ぶ。
「・・・マッ・・・・キー・・・」
牧屋は新野の身体を支える。
そして首に触れない様にお姫さまだっこの形で新野を抱き、走り出す。

ーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーーー
ーー

「はぁ・・・はぁ・・・はぁー・・・・」
後方の足音が消えた。

・・・牧屋は新野をゆっくりと地面におろす。
走っている最中ーーー
「マッキ・・・・マッ・・・マッ・・・」
新野が喋っていた声が頭から離れなかった。
「・・・あ・・・らや?・・・・新野?」
「・・・・・・」
返事は無い。
新野の顔に触れてみる・・・
ーーーー冷たかった。


『ーーーー人間って・・・こんなに早く冷たくなるんだな・・・・』


牧屋は涙を流す。
嗚咽は聞こえなかった・・・・
ただ・・・・牧屋の心の中で何かが壊れる音しか・・・聞こえない。

「・・・・殺す」

デパート屋上  ???・???   07時32分
「・・・・・・」
1人の男がスナイプ用のデカイ銃を構えている。
そのスコープには、久井が映っていた。
「・・・・残念」
【チュン・・・・】
銃弾は遠く離れた場所の久井の元へ、ジャイロ回転をしながら飛ぶ。
音も無く、久井は倒れる。
横で亀横が騒いでいた。
「ふぅ・・・・こんぐらいで良いかな・・・」
スコープから顔を離し、ため息をつく。
それは、中水だった。
後方には、金崎が立っていた。
「・・・・終わった?」
「うん、殺せた。1発で殺せたょ、けっこうスゴぃよね!?」
『・・・・・もぅ、十分かな・・・?』
「・・・・ぁ、そうだ中水。一緒に亀横も殺しちゃって」
「ぇ、ぁ、うん!・・・・ちょっと待て・・・すぐに終わるぜぇ!」
中水はもう一度座り直し、スコープに眼を当てる。

【ーーーードッ】

「・・・・・・?」
一瞬だけ・・・・ターゲットが近くなった気がした・・・・
中水に立ち上がる足場は無かった。
「・・・・」
すぐに後ろを向く。
そこには
右足の上がった金崎がいた。
『・・・・は、なんだ・・そゆこと』
中水は全てを理解した。
ーーーー蹴られた、殺された。
下に向かい、屋上への視界が狭くなる中、金崎が手を振っているように見えたーーー
「・・・・バカだな、俺」
中水は下を向く。

ーーーー地面がどんどん近くなっていくのが分かった、理解できた。

「・・・・・・」
中水はゆっくりと目を瞑る。
『・・・・・裏切られたの?』


【グチャッッッーーーーー】


「・・・・悪りぃな、中水」
屋上から見ていた金崎は笑った。
そしてスナイプ銃の入っていたケースを蹴り、下に落とす。
金崎はポケットから6本のナイフを出し、口笛を奏でると共に、足を前に出す。
「・・・・さぁーて、これで何人だ?」

・・・・・I live and survive by one person









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